更新日:2023年4月29日
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世界に拡がる糖尿病の脅威に対応するため、国際糖尿病連合と世界保健機関が11月14日を世界糖尿病デーと制定しています。
11月14日は、インスリンを発見したカナダのバンティング博士の誕生日であり、糖尿病治療に画期的な発見に敬意を表し、この日を糖尿病デーとして顕彰しています。
2021年現在世界の糖尿病人口は5億3700万人で、2045年には約7億8300万人に達することが予測されています。2019年から7,400万人増加し、世界の成人の10人に1人が糖尿病に罹患している状況です。
この日を中心に世界165か国で、糖尿病の全世界的脅威を認知し、糖尿病の予防や治療継続の重要性について、市民へ周知する重要な機会としています。日本では、この日を含む1週間を「全国糖尿病週間」として、全国各地で様々な活動をしています。
キャンペーンには、どこまでも続く空を表す「ブルー」と、団結を表す「輪」をデザインし、青い丸をモチーフにした「ブルーサークル」を用いています。
(世界糖尿病デー実行委員会ホームページより抜粋)
糖尿病は、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が高い状態が続く病気です。
糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病があります。
糖尿病全体の90%以上を占める2型糖尿病は、血糖値を下げる唯一のホルモン「インスリン」の作用不足に、過食、運動不足、肥満、ストレス、加齢などが加わることにより発症します。
糖尿病は生活習慣病の一つで、食生活などの生活習慣と大きく関係しています。
血液中のブドウ糖(グルコース)の濃度のことです。血液中のブドウ糖は、からだを動かすエネルギー源です。
食事等で摂取した糖は腸で消化吸収され、すい臓から分泌される「インスリン」というホルモンによって細胞や筋肉などの全身の細胞に糖が取り込まれることで、血糖値は一定の範囲内でコントロールされています。
ブドウ糖は、エネルギー源だけでなく、血液中のたんぱく質と結合して、血管の内膜を保護する材料(グリコカリックス)などに使われ、血管壁を守っています。
このようにブドウ糖は、結合しやすい性質があるため、血液中のブドウ糖濃度が高いと、たんぱく質と結合したまま離れず、「糖化たんぱく」により全身の細胞へ影響を及ぼします。
例えば、コラーゲンと結合すると、血管壁の細胞が硬くもろくなったり、赤血球と結合すると、酸素が運べなくなり、細胞が壊死(えし)してしまう原因になります。
高血糖が長期間続くと、血管内の保護材料(グリコカリックス)など細胞が壊れ、血管の弾力は失なわれ、血管内にできた炎症物質により動脈硬化が進み、その血管の先にある多くの臓器や神経、目の網膜細胞など全身に悪影響を及ぼします。
すい臓の細胞が壊れることで、インスリンの分泌不全が起こり、細胞内にブドウ糖を取り込めなくなるなど糖尿病による重症化がますます進んでしまいます。
血液検査でわかります。
糖尿病の疑いがあるかどうかは、日本糖尿病学会による糖尿病治療ガイドに基づき判断します。
1から4のいずれかが確認された場合は、「糖尿病型」と判定します。
また、上記の糖尿病の疑いがある人が「糖尿病である」という診断は、医師が高血糖が慢性に持続していることを証明することによって行います。
HbA1cの値は、ブドウ糖が血液中のヘモグロビンというタンパク質と結合した状態で、採血時から過去1~2か月間の平均血糖値を反映します。糖尿病の診断に用いられるとともに、血糖コントロール状態の指標になります。
*2014年4月1日からHbA1c値の国際標準化に伴う表記法の変更があり、JDS値ではなくNGSP値を用いています。
持続する中等度以上の高血糖により以下の特徴ある症状を示すことが多いですが、それ以外の場合は、自覚症状が乏しく、高血糖の持続に気づかないで合併症など重症化してしまう場合もあります。
高血糖が持続すると毛細血管や細小動脈に障害が生じます。血管が細いほど高血糖による障害を受けやすくなります。「眼・腎・神経」はからだの中でも特に細い血管があるため合併症が出現しやすいと考えられています。
それが糖尿病の三大合併症といわれる「糖尿病性網膜症」「糖尿病性腎症」「糖尿病性神経障害」です。
高齢者の糖尿病は、認知症、うつ、ADL低下、サルコペニア※1、転倒、骨折、フレイル※2、排尿障害、低栄養などの老年症候群をきたしやすいこともわかっています。
*1サルコペニアとは、「高齢期にみられる骨格筋量の減少と筋力もしくは身体機能(歩行速度など)の低下により定義される」としている(『サルコペニア診療ガイドライン2017年版』より)
*2フレイルとは、日本老年医学会が提唱した用語であり、加齢に伴う予備能力低下のため、ストレスに対する回復力が低下した状態」を表す(『フレイル診療ガイド2018年版』より)
HbA1c値は、過去1~2か月間の平均血糖値を反映する指標です。診療における血糖コントロール指標では、HbA1c値を重視します。血糖値正常化を目指す際の目標は、HbA1c値6.0%未満です。合併症予防のための目標値は7.0%未満です。
ただし、血糖コントロール目標は、年齢、病気の罹患期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定します。
また、65歳以上の高齢者については、上記の個別設定の要件に加え、認知機能や基本的ADL、手段的ADL、併存疾患なども考慮して個別に決めます。糖尿病治療の第一段階は、食事療法と運動療法です。
食事と運動で血糖値が改善されなかった場合、第二段階として、薬による治療が開始されます。
この場合でも、内服を続けることに加え、食事に気をつけ運動することが重要です。
65歳以上の糖尿病治療では、食事・運動・薬物療法によって、血糖・血圧・脂質・体重を包括的に治療し、脳血管疾患や心筋梗塞、腎臓病などの血管障害による合併症を予防することです。(参考文献:『糖尿病治療ガイド2022-2023』『高齢者糖尿病治療ガイド2018』)
世界糖尿病デーをきっかけに、あなたの血管と臓器を守るため、具体的な取組を見つけ、実践してみましょう。
長野市では、健診結果からひとりひとりの血管の状態や臓器の変化について読み解き、重症化しないよう、かかりつけ医と連携しながら、治療の必要性や生活習慣の具体的な取組について保健指導を行っております。お住まいの地区を担当している保健師や管理栄養士、理学療法士、歯科衛生士が家庭訪問や各種講座、相談事業等を行っておりますので、皆さんの健康の維持・増進のために、お役立てください。
令和5年度健康・食生活相談、運動相談、歯科相談、血糖を下げる運動講座の日程はこちらをご覧下さい。
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