○長野市環境基本条例
平成9年3月27日長野市条例第12号
長野市環境基本条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 基本施策等
第1節 基本方針(第6条)
第2節 環境基本計画等(第7条・第8条)
第3節 基本施策(第9条―第19条)
第3節の2 行動計画等(第19条の2・第19条の3)
第4節 施策の推進体制の整備(第20条・第20条の2)
第3章 長野市環境審議会(第21条―第25条)
附則
私たち市民は、千曲川や犀川のもたらす肥よくな土地と美しい山並みに囲まれた豊かな自然の恵みのもとで、歴史と伝統のある文化を育んできた。
しかしながら、資源やエネルギーを大量に消費し、廃棄物を大量に発生させる社会経済活動は、私たちに物の豊かさや生活の便利さをもたらした一方で、身近な自然の減少、都市・生活型公害の増加などを引き起こし、さらにはすべての生物の生存基盤である地球環境を脅かすまでに至っている。
私たちは、生態系の一部として存在し自然から多くの恵みを受けていること及び環境資源や環境の価値は有限であることを自覚し、自然と人との共生を確保するとともに、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会をつくりあげていかなければならない。
私たち市民は、それぞれの役割分担のもとに、ともに手を携え協働して良好な自然環境と健全な社会環境の保全と創造を推進し、未来に誇りうる環境調和都市を実現するため、ここに、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、環境の保全及び創造について基本理念を定め、並びに市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、環境の保全及び創造に関する施策の基本となる事項を定めることにより、施策を総合的かつ計画的に推進し、もって現在及び将来の市民が健康で文化的な生活を営むことができる良好な環境を確保することを目的とする。
(基本理念)
第2条 環境の保全及び創造は、すべての市民が健康で文化的な生活を営む上で必要とされる健全で恵み豊かな環境を享受する権利を有すること及びその環境を将来の市民に引き継いでいく責務を有することを認識して、積極的に行われなければならない。
2 環境の保全及び創造は、人間が生態系の一部として存在し自然から多くの恵みを受けていることを認識して、生態系の均衡及び生物の多様性の確保に配慮し、自然と人とが共生していくことを目的として行われなければならない。
3 環境の保全及び創造は、環境資源及び環境の価値が有限であることを認識して、資源・エネルギーの合理的かつ循環的利用等により、環境への負荷の少ない持続的発展が可能な社会を構築することを目的として行われなければならない。
4 環境の保全及び創造は、地域の環境が地球環境と深く関わっていることを認識して、すべての事業活動や日常生活において地球環境の保全に資するよう行われなければならない。
(市の責務)
第3条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、環境の保全及び創造に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
2 市は、自らその社会経済活動に際して環境の保全及び創造に資する取組を率先して実行するとともに、市民及び事業者の環境の保全及び創造に資する取組を支援する責務を有する。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、基本理念にのっとり、事業活動を行うに当たっては、これに伴って生ずる公害を防止し、又は自然環境を適正に保全するため必要な措置を講ずる責務を有する。
2 事業者は、事業活動において、環境への負荷の低減その他環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境の保全及び創造に関する施策(以下「環境施策」という。)に協力する責務を有する。
(市民の責務)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、日常生活において、資源・エネルギーの節約、廃棄物の排出の抑制等により、環境への負荷の低減に努めなければならない。
2 市民は、環境の保全及び創造に自ら努めるとともに、市が実施する環境施策に協力する責務を有する。
第2章 基本施策等
第1節 基本方針
第6条 市は、環境施策の策定及び実施に当たっては、環境優先の理念の下に次に掲げる事項に配慮して、これに取り組むものとする。
(1) 環境施策の対象とすべき環境の範囲は、生活環境、自然環境、歴史的・文化的環境、地球環境等を総合的にとらえたものであること、及び環境施策は、社会的条件の変化に的確に対応するものであること。
(2) 市民及び事業者の環境の保全及び創造に資する自発的かつ積極的な取組が促進されること並びに市民等の意見が反映されること。
2 この章に定める環境施策は、次に掲げる基本方針に基づき、総合的かつ計画的に推進されなければならない。
(1) 産業型公害その他人の健康又は生活環境に被害を及ぼす環境保全上の支障を防止し、安全な生活環境を確保すること。
(2) 都市・生活型公害を防止し、良好な生活環境を確保すること。
(3) 歴史的・文化的環境の保全、良好な景観の形成、身近な自然空間の整備及び人にやさしい都市施設の整備を推進し、快適な環境を創造すること。
(4) 生物の多様性の確保、希少野生生物の保護及び健全な自然環境に寄与する森林、農地等の保全を図り、質の高い自然環境を確保すること。
(5) 資源・エネルギーの合理的かつ循環的な利用及び廃棄物の発生の抑制を推進し、環境への負荷の少ない循環型社会を構築すること。
(6) 環境の保全及び創造に資する取組を通じて、地球環境の保全に貢献すること。
第2節 環境基本計画等
(環境基本計画)
第7条 市長は、環境施策を総合的かつ計画的に推進するため、長野市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を定めなければならない。
2 環境基本計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 環境の保全及び創造に関する総合的かつ長期的な施策の大綱
(2) 環境への配慮の指針
(3) 前2号に掲げるもののほか、環境の保全及び創造に関し必要な事項
3 市長は、環境基本計画を定めるに当たっては、市民の意見が反映されるよう努めるとともに、長野市環境審議会の意見を聴かなければならない。
4 市長は、環境基本計画を定めたときは、これを公表しなければならない。
5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。
(長野市環境白書)
第8条 市長は、市民に環境の状況、市が講じた環境施策の実施状況等を明らかにするため、長野市環境白書を定期的に作成し、これを公表しなければならない。
第3節 基本施策
(規制的措置)
第9条 市は、公害の原因となる行為及び自然環境の適正な保全に支障を及ぼすおそれがある行為に関し、必要な規制の措置を講ずるものとする。
2 前項に定めるもののほか、市は、環境の保全上の支障を防止するために必要な規制の措置を講ずるよう努めるものとする。
(経済的措置)
第10条 市は、事業者及び市民が自ら環境への負荷の低減のための施設の整備その他の適切な措置をとるよう誘導するため、助成その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(調査の実施及び監視体制等の整備)
第11条 市は、環境の状況の把握その他環境施策の策定に必要な調査を実施するものとする。
2 市は、環境の状況を把握し、及び環境施策を推進するために必要な監視、調査等の体制を整備するよう努めるものとする。
(事業に係る環境配慮)
第12条 市は、環境に影響を及ぼすおそれのある事業を行おうとする者が、その事業に係る環境の保全又は創造について適正に配慮するよう、必要な措置を講ずるものとする。
(環境影響評価)
第13条 市は、環境に著しい影響を及ぼすおそれのある土地の形状の変更、工作物の新設その他これらに類する事業を行おうとする者が、あらかじめその事業に係る環境への影響について自ら適正に調査、予測及び評価を行い、その結果に基づき、その事業に係る環境の保全又は創造について適正に配慮するよう、必要な措置を講ずるものとする。
(日常生活等に係る環境配慮)
第14条 市は、事業者及び市民が、自らその事業活動及び日常生活に係る環境への負荷の低減の目標について定め、その目標の達成状況の検証を行い、その結果に基づき、自らの事業活動及び日常生活に係る環境への負荷の低減について配慮するよう、必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(環境教育及び環境学習の振興)
第15条 市は、市民及び事業者の環境の保全及び創造についての関心と理解が深められるよう、環境教育及び環境学習の振興その他の必要な措置を講ずるものとする。
(市民等の自発的な活動の促進)
第16条 市は、市民、事業者及び民間団体が自発的に行う環境の保全及び創造に関する活動が促進されるよう、必要な措置を講ずるものとする。
(環境情報の整備と提供)
第17条 市は、環境の保全及び創造に関する必要な情報を体系的に整備し、適切に提供するよう努めるものとする。
(環境の保全及び創造に資する施設の整備)
第18条 市は、下水道、廃棄物処理施設、環境への負荷の低減に資する交通施設その他の環境の保全に資する公共的施設の整備を推進するために必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、公園、緑地等自然と人との豊かなふれあいに資する公共的施設その他の人にやさしい快適な環境の創造に資する公共的施設の整備を推進するために必要な措置を講ずるものとする。
(地球環境の保全に関する国際協力等)
第19条 市は、地球環境の保全その他広域的な取組を必要とする環境施策の実施に当たっては、国、他の地方公共団体その他関係機関と協力して、その推進に努めるものとする。
2 市は、市の実施する各種の国際交流を通じて、地球環境の保全に関する国際協力を推進するよう努めるものとする。
第3節の2 行動計画等
第19条の2 市は、市民及び事業者と協働して環境の保全及び創造のための行動計画を定めるものとする。
2 行動計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 理想とする環境像
(2) 目標
(3) 目標を達成するための行動
(4) 計画を推進する仕組み
(5) その他必要な事項
第19条の3 市、市民及び事業者は、社会経済活動、日常生活及び事業活動が前条の行動計画に適合するよう努めるものとする。
2 市は、あらゆる施策の策定及び実施に当たっては、前条の行動計画に適合するよう努めるものとする。
第4節 施策の推進体制の整備
第20条 市は、環境施策について総合的な調整を行い、及び計画的に推進するために必要な体制を整備するものとする。
第20条の2 市は、市、市民及び事業者が環境の保全及び創造のための活動を協働の下に推進するため、必要な措置を講ずるものとする。
第3章 長野市環境審議会
(設置)
第21条 環境基本法(平成5年法律第91号)第44条の規定に基づき、長野市環境審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、市長の諮問に応じて環境の保全及び創造に関する基本的事項について調査又は審議するほか、必要に応じて環境の保全及び創造に関する基本的事項について市長に意見を述べることができる。
(組織等)
第22条 審議会は、委員20人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験者
(2) 民間諸団体の代表者
(3) 市長が必要と認める者
3 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
4 審議会に、会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によりこれを定める。
5 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
6 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第23条 審議会は、会長が招集し、会長が会議の議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席委員の過半数で決定し、可否同数のときは、議長の決定するところによる。
(特別委員)
第24条 審議会は、専門の事項を調査するため必要があるときは、審議会に特別委員を置くことができる。
(補則)
第25条 この章に定めるもののほか、審議会の運営に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成9年4月1日から施行する。
(長野市環境審議会条例の廃止)
2 長野市環境審議会条例(昭和45年長野市条例第73号)は、廃止する。
附 則(平成13年6月29日条例第20号)
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行の際現に次の各号に掲げる従前の審議会等の委員である者(市議会議員のうちから委嘱された委員である者に限る。)は、この条例の施行の日に、それぞれの条例の規定により、それぞれの審議会等の委員として委嘱されたものとみなす。この場合において、その委嘱されたものとみなされる者の任期は、それぞれの条例の規定にかかわらず、同日におけるそれぞれの審議会等の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。
(1)~(5) 略
(6) 長野市環境審議会
(7)~(20) 略
附 則(平成14年6月28日条例第26号)
この条例は、平成14年7月1日から施行する。