○長野市伝統的建造物群保存地区保存条例
平成28年3月30日長野市条例第25号
長野市伝統的建造物群保存地区保存条例
(目的)
第1条 この条例は、文化財保護法(昭和25年法律第214号。以下「法」という。)第143条第1項又は第2項の規定に基づき、本市が定める伝統的建造物群保存地区(法第142条に規定する伝統的建造物群保存地区をいう。以下「保存地区」という。)に関し、現状変更の規制その他保存地区の保存のため必要な措置を定め、もって市民の文化的向上に資することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 伝統的建造物群 法第2条第1項第6号に規定する伝統的建造物群をいう。
(2) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(3) 伝統的建造物 保存地区内における伝統的建造物群を構成している建築物その他の工作物をいう。
(4) 建造物 伝統的建造物及び保存地区内における伝統的建造物以外の建築物その他の工作物をいう。
(5) 環境物件 保存地区内における伝統的建造物群と一体をなす環境を保存するため特に必要と認められる物件をいう。
(保存計画)
第3条 市長は、都市計画に保存地区を定めたときは、第13条第1項に規定する長野市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴いて当該保存地区の保存に関する計画(以下「保存計画」という。)を定めなければならない。
2 保存計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
(1) 保存地区の保存に関する基本計画に関する事項
(2) 伝統的建造物及び環境物件の決定に関する事項
(3) 建造物の保存整備計画に関する事項
(4) 建造物及び環境物件に係る助成措置等に関する事項
(5) 保存地区の保存のため必要な管理施設及び設備並びに環境の整備に関する事項
3 市長は、保存計画を定めたときは、これを告示しなければならない。
4 第1項及び前項の規定は、保存計画を変更する場合について準用する。
(現状変更行為の規制)
第4条 都市計画に定めた保存地区内における次に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、市長が規則で定めるところにより、市長の許可を受けなければならない。
(1) 建造物の新築、増築、改築、移転又は除却
(2) 建造物の修繕、模様替え又は色彩の変更で建造物の外観を変更することとなるもの
(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更
(4) 木竹の伐採
(5) 土石類の採取
(6) 水面の埋立て又は干拓
2 前項の規定にかかわらず、同項各号に掲げる行為に該当する行為で次に掲げるものについては、同項の規定による許可を受けることを要しない。
(1) 非常災害のため必要な応急措置として行う行為
(2) 次に掲げる工作物(建築物以外の工作物をいう。以下この項において同じ。)の新築、増築、改築、移転又は除却
ア 仮設の工作物
イ 水道管、下水道管、井戸その他これらに類する工作物で地下に設けるもの
(3) 次に掲げる木竹の伐採
ア 間伐、枝打ち、整枝等木竹の保育のため通常行われる木竹の伐採
イ 枯損した木竹又は危険な木竹の伐採
ウ 森林病害虫等防除のための木竹の伐採
エ 自家の生活の用に充てるために必要な木竹の伐採
オ 仮植した木竹の伐採
(4) 前3号に掲げるもののほか、次に掲げる行為
ア 法令又はこれに基づく処分による義務の履行として行う行為
イ 長野県公安委員会が行う道路標識等の設置又は管理に係る行為
ウ 農業、林業又は漁業を営むために行う行為。ただし、次に掲げるものを除く。
(ア) 建造物(仮設の工作物を除く。)の新築、改築、増築、移転又は除却
(イ) 用排水施設又は幅員が2メートルを超える農道若しくは路肩部分及び屈曲部若しくは待避所として必要な拡幅部分を除く部分の幅員が3メートルを超える林道の設置
(ウ) 宅地の造成又は土地の開墾
(エ) 森林の択伐又は皆伐(林業を営むために行うものを除く。)
(オ) 水面の埋立て又は干拓
3 市長は、第1項の許可を与える場合には、保存地区の保存のため必要な限度において条件を付することができる。
(許可の基準)
第5条 市長は、前条第1項各号に掲げる行為で次に定める基準に適合しないものについては、同項の規定による許可をしてはならない。
(1) 伝統的建造物の増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更で伝統的建造物の外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の伝統的建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(2) 伝統的建造物の移転(同一保存地区内における当該伝統的建造物の移築を含む。以下この号において同じ。)については、移転後の伝統的建造物の位置及び移転後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(3) 伝統的建造物の除却については、除却後の状態が当該伝統的建造物群の特性を維持していると認められるものであること。
(4) 伝統的建造物以外の建造物の新築、増築若しくは改築又は修繕、模様替え若しくは色彩の変更でその外観を変更することとなるものについては、それらの行為後の当該建造物の位置、規模、形態、意匠又は色彩が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(5) 伝統的建造物以外の建造物の移転については、移転後の当該建造物の位置及び移転後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(6) 伝統的建造物以外の建造物の除却については、除却後の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(7) 前条第1項第3号から第6号までの行為については、それらの行為後の地貌その他の状態が当該保存地区の歴史的風致を著しく損なうものでないこと。
(8) 前各号に定めるほか、当該行為後の建造物又は土地の用途等が当該伝統的建造物群の保存又は当該保存地区の環境の維持に著しい支障を及ぼすおそれがないものであること。
(国の機関等に関する特例)
第6条 国若しくは地方公共団体の機関又は法令の規定により国の行政機関若しくは地方公共団体とみなされた法人(以下「国の機関等」という。)が行う行為については、第4条第1項の許可を受けることを要しない。この場合において、当該国の機関等は、同項の許可に係る行為をしようとするときは、あらかじめ、市長が規則で定めるところにより、市長に協議しなければならない。
(許可及び協議の特例)
第7条 第4条第1項及び前条の規定は、都市計画事業の施行として行う行為、河川、道路、公園等の施設又は通信、放送、電気、ガス、水道等の事業の用に供する工作物の設置又は管理に係る行為、文化財の保存に係る行為その他の行為で、保存地区の保存に著しい支障を及ぼすおそれがないものとして市長が規則で定める行為については、適用しない。この場合において、第4条第1項の許可又は前条の協議に係る行為をしようとする者は、あらかじめ、市長が規則で定めるところにより、市長にその旨を通知しなければならない。
(許可の取消し等)
第8条 市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対して、都市計画に定めた保存地区の保存のため必要な限度において、第4条第1項の規定による許可を取り消し、又は工事その他の行為の停止を命じ、若しくは相当の期限を定めて、建造物の改築、移転、除却その他違反を是正するため必要な措置を執ることを命ずることができる。
(1) この条例若しくはこれに基づく処分に違反した工事の注文主若しくは請負人(請負工事の下請人を含む。)又は請負契約によらないで自らその工事をしている者若しくはした者
(2) 第4条第3項の規定により許可に付した条件に違反した者
(3) 詐欺その他不正な手段により、第4条第1項の規定による許可を受けた者
(4) 前3号に掲げる者のほか、この条例又はこれに基づく処分に違反した者
2 市長は、前項の規定により、処分又は命令をしようとするときは、あらかじめ、第13条第1項に規定する長野市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要すると認められるときは、この限りでない。
(都市計画区域以外の区域における保存地区の決定)
第9条 市長は、都市計画区域(都市計画法(昭和43年法律第100号)第5条の規定により指定された都市計画区域をいう。)以外の区域内に所在する伝統的建造物群及びこれと一体をなしてその価値を形成している環境を保存するため、保存地区を決定することができる。
2 前項の規定による決定をしようとするときは、あらかじめ、第13条第1項に規定する長野市伝統的建造物群保存地区保存審議会の意見を聴かなければならない。
3 第1項の保存地区を決定しようとする場合において必要があると認めるときは、住民等の意見を反映させるために公聴会の開催等の必要な措置を講ずるものとする。
4 第1項の保存地区を決定したときは、当該保存地区の名称及び区域を告示しなければならない。
5 第1項の保存地区の決定は、前項の規定による告示があった日から、その効力を生ずる。
(保存地区の取消し)
第10条 市長は、前条第1項の保存地区がその価値を失った場合その他特殊の事由があるときは、当該保存地区の決定を取り消すことができる。
2 前条第2項から第5項までの規定は、前項の規定により保存地区の決定を取り消す場合について準用する。
(準用)
第11条 第3条から第8条までの規定は、第9条第1項の規定により保存地区を決定した場合について準用する。この場合において、第3条第1項中「都市計画に保存地区を定めたとき」とあるのは「第9条第1項の保存地区を決定したとき」と、第4条第1項及び第8条第1項中「都市計画に定めた」とあるのは「第9条第1項の」と、第5条中「同項」とあるのは「第11条において準用する前条第1項」と、第6条から第8条までの規定中「第4条第1項」とあるのは「第11条において準用する第4条第1項」と、第7条後段中「前条の協議」とあるのは「第11条において準用する前条の協議」と、第8条第1項第2号中「第4条第3項」とあるのは「第11条において準用する第4条第3項」と読み替えるものとする。
(経費の補助等)
第12条 市長は、予算の範囲内において、保存地区内における建造物及び環境物件を保存するため特に必要と認められる物件の管理、修理、修景又は復旧について、自ら保存のため適当な措置を行い、又は当該物件の所有者等に対し、その経費の一部を補助することができる。
(伝統的建造物群保存地区保存審議会)
第13条 市長の諮問に応じ、保存地区の保存等に関する重要事項について調査し、及び審議するため、長野市伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、前項の重要事項について、市長に意見を述べることができる。
(組織)
第14条 審議会は、委員15人以内で組織する。
2 委員は、次に掲げる者のうちから市長が委嘱する。
(1) 学識経験者
(2) 関係行政機関の職員
(3) 関係地域の代表者
(4) 市長が必要と認める者
(任期)
第15条 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
(会長及び副会長)
第16条 審議会に、会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によりこれを定める。
2 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
3 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき又は会長が欠けたときは、その職務を代理する。
(会議)
第17条 審議会は、会長が招集し、会長が会議の議長となる。
2 審議会は、委員の過半数が出席しなければ、会議を開くことができない。
3 審議会の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
4 審議会は、必要があると認めるときは、委員でない者を会議に出席させ、意見を述べさせることができる。
(書記)
第18条 審議会に書記若干人を置き、市職員のうちから市長が任命する。
2 書記は、会長の命を受けて審議会の所掌事務に従事する。
(委任)
第19条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
(罰則)
第20条 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
(1) 第4条第1項(第11条において準用する場合を含む。)の規定に違反して、市長の許可を受けずに同項に定めのある行為を行った者
(2) 第8条第1項(第11条において準用する場合を含む。)の規定による工事その他の行為の停止命令に違反して工事その他の行為を行った者又は同項の規定による建造物の改築、移転、除却その他違反を是正するために必要な措置の命令に違反して期限までに当該命令による措置を執らなかった者
(両罰規定)
第21条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務又は財産の管理に関して前条の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、同条の罰金刑を科する。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成28年4月1日から施行する。
(長野市特別職の職員の給与に関する条例の一部改正)
(次のよう略)
(長野市伝統環境保存条例の一部改正)
(次のよう略)
附 則(令和6年3月26日条例第19号抄)
(施行期日)
1 この条例は、令和6年4月1日から施行する。
(長野市伝統的建造物群保存地区保存条例の一部改正に伴う経過措置)
9 この条例の施行の際現に前項の規定による改正前の長野市伝統的建造物群保存地区保存条例(以下この項及び附則第15項において「旧伝統的建造物群条例」という。)第14条第2項の規定により教育委員会から委嘱された旧伝統的建造物群条例第13条第1項に規定する長野市伝統的建造物群保存地区保存審議会(以下この項において「旧伝統的建造物群審議会」という。)の委員である者は、施行日に、前項の規定による改正後の長野市伝統的建造物群保存地区保存条例(以下この項及び附則第15項において「新伝統的建造物群条例」という。)第14条第2項の規定により、市長から新伝統的建造物群条例第13条第1項に規定する長野市伝統的建造物群保存地区保存審議会の委員として委嘱されたものとみなす。この場合において、その委嘱されたものとみなされる者の任期は、長野市伝統的建造物群保存地区保存条例第15条本文の規定にかかわらず、施行日における旧伝統的建造物群条例第14条第2項の規定により教育委員会から委嘱された旧伝統的建造物群審議会の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。
(経過措置)
15 附則第5項、第7項、第9項及び第13項に定めるもののほか、この条例の施行前に旧博物館条例、旧文化財条例、旧伝統的建造物群条例及び旧松代藩条例(以下この項において「旧博物館条例等」という。)の規定により教育委員会が行った使用の許可その他の行為又はこの条例の施行の際現に旧博物館条例等の規定により教育委員会に対して行っている使用の許可の申請その他の行為は、新博物館条例、新文化財条例、新伝統的建造物群条例及び新松代藩条例の相当規定により市長が行った使用の許可その他の行為又は市長に対して行った使用の許可の申請その他の行為とみなす。
(委任)
16 附則第3項、第5項、第7項、第9項、第10項、第13項及び前項に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な経過措置は、市長が別に定める。