○長野市公契約等基本条例
令和2年12月25日長野市条例第40号
長野市公契約等基本条例
(目的)
第1条 この条例は、公契約等に関し、基本理念を定め、並びに市及び受注者等の責務を明らかにすることにより、公契約等の公正性、競争性及び透明性を高め、市民への良好な公共サービスの提供を確保するとともに、労働者等の労働環境の向上を図り、もって地域経済の健全な発展及び市民が幸福で安心して暮らせる持続可能な地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 公契約 本市が発注する工事の請負及び業務の委託の契約、本市が依頼する物品の売買の契約その他の本市が発注し、及び依頼する契約の全て並びに地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条の2第3項の規定による公の施設の管理に関する協定をいう。
(2) 公契約等 公契約及び公契約に係る業務の一部を履行するための契約をいう。
(3) 市長等 市長及び上下水道事業管理者をいう。
(4) 受注者 本市と公契約を締結するものをいう。
(5) 下請負者等 次に掲げるものをいう。
ア 下請、再委託その他いかなる名称によるかを問わず、市以外のものから公契約に係る業務の一部を請け負うもの又は受託するものをいう。
イ 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号)の規定により、市以外のもののために公契約等に係る業務に関し同法第2条第1号に規定する労働者派遣の役務を提供する者をいう。
(6) 受注者等 受注者及び下請負者等をいう。
(7) 労働者等 受注者等との契約により、公契約等に係る業務に従事する者をいう。
(基本理念)
第3条 公契約等は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
(1) 公正性、競争性及び透明性の向上が図られること。
(2) 適正な履行及び品質(公契約等の履行に係る工程、成果等をいう。以下同じ。)が確保されること。
(3) 市内の事業者に係る受注等の機会の確保が図られること。
(4) 労働者等の賃金その他の労働環境の向上が図られること。
(5) 地域において労働者等の確保及び育成が図られること。
(6) 環境の保全、人権への配慮その他の事業者の社会的価値の向上が図られること。
(7) 談合その他の不正行為の排除が徹底されること。
(市の責務)
第4条 市は、市の財政状況に留意しつつ、次に掲げる施策その他前条の基本理念に基づく必要な施策を講じなければならない。
(1) 公正性、競争性及び透明性の向上を図るため、適正な入札の実施及び契約の締結をすること。
(2) 適正な履行及び品質を確保するため、適切な履行の期間を定めつつ、計画的に公契約を発注し、及び依頼するとともに、適切な積算に基づき予定価格を設定すること。
(3) 市内の事業者に係る受注等の機会の確保を図るため、専門的な知識又は技術等を有する事業者が市内に存しない場合その他特別の事情がある場合を除き、市内の事業者に対する発注及び依頼に努めること。
(受注者等の責務)
第5条 受注者等は、法令を遵守するとともに、次に掲げる取組その他第3条の基本理念に基づく必要な取組を行い、公契約等を適正に履行するよう努めなければならない。
(1) 労働者等の賃金その他の労働環境の向上に努めること。
(2) 品質及び労働環境が向上するよう、適正な価格での入札に努めること。
(3) 下請負者等に市内の事業者を選定するよう努めること。
(4) 市内の事業者から資材を調達するよう努めること。
(5) 地域において労働者等を確保し、その育成に努めること。
(6) この条例の内容について、規則で定めるところにより、労働者等に対して周知に努めること。
(受注者等と下請負者等との契約)
第6条 受注者等は、公契約に係る業務の一部を当該受注者等の下請負者等に履行させるときは、当該下請負者等にこの条例の内容について説明し、その理解を得るとともに、各々の対等な立場における合意に基づいて適正に当該下請負者等との契約を締結しなければならない。
2 受注者は、公契約に係る業務の一部を下請負者等に履行させるときは、当該下請負者等に必要な指導等を行い、当該下請負者等の労働者等の賃金その他の労働環境の向上が図られるように努めなければならない。
(労働環境の報告)
第7条 受注者は、規則で定める公契約を締結するときは、規則で定めるところにより、当該公契約に係る労働環境について、市長等に報告しなければならない。
2 前項に規定する公契約に係る業務の一部を履行する下請負者等は、規則で定めるところにより、当該業務に係る労働環境について、受注者を通じて市長等に報告しなければならない。
(労働者等からの申出等)
第8条 労働者等は、公契約等に係る労働環境が法令に違反している疑いがあるときは、規則で定めるところにより、その旨を市長等に申し出ることができる。
2 市長等は、前項の規定による申出及び当該申出その他公契約等に係る労働環境に係る相談を受け付けるための窓口を設置するものとする。
(不利益取扱いの禁止)
第9条 受注者等は、労働者等が前条第1項の規定による申出及び同条第2項に規定する窓口に相談をしたことを理由として、当該労働者等に対して不利益な取扱いをしてはならない。
(報告の徴収及び関係機関への通報等)
第10条 市長等は、受注者等と当該受注者等の下請負者等との契約、第7条第1項及び第2項の規定による報告(以下「労働環境報告」という。)の内容並びに第8条第1項の規定による申出の内容(次項において「契約、報告及び申出の内容」という。)を確認する必要があると認めるときは、受注者等に対して報告若しくは資料の提出を求め、又は関係者に質問するものとする。
2 市長等は、契約、報告及び申出の内容が法令に違反している疑いがあると認めるときは、関係機関に通報するものとする。
(是正の求め)
第11条 市長等は、受注者等が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該受注者等に対し、規則で定めるところにより、期限を定めて必要な措置を講ずるよう求めるものとする。
(1) 労働環境報告をせず、又は虚偽の労働環境報告をしたとき。
(2) 前条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、又は同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。
(3) 労働環境報告の内容その他公契約等に係る労働環境について改善の必要な事項があると市長等が認めるとき。
(是正の求めに係る報告等)
第12条 受注者等は、前条の規定による市長等の求め(以下「是正の求め」という。)があったときは、速やかに必要な措置を講じ、規則で定めるところにより、当該措置の内容について市長等に報告しなければならない。
(公表等)
第13条 市長等は、受注者等が正当な理由がなく是正の求めに応じないときは、規則で定めるところにより、当該是正の求めに応じない受注者等に対して、一般競争入札及び指名競争入札(随意契約を含む。)に参加する資格を有する者の指名を停止し、又はその氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに当該是正の求めの内容を公表することができる。
2 市長等は、前項の規定による指名の停止又は公表をしようとするときは、あらかじめ、是正の求めに係る受注者等に意見を述べる機会を与えなければならない。
(検証)
第14条 市長等は、公契約等に係る施策を効果的かつ円滑に行うため、毎年度、この条例の施行の状況を検証するものとする。
2 市長等は、前項の規定による検証において必要があると認めるときは、学識経験のある者、事業者、関係団体の代表者等と市との協議の場を設けるものとする。
(委任)
第15条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、令和3年4月1日から施行する。
(経過措置)
2 第3条から第6条までの規定は、令和3年4月1日以後に行われる公告その他の契約の申込みの誘引等に係る公契約について適用する。
3 第7条から第13条までの規定は、令和3年10月1日以後に締結する公契約について適用する。