広報ながの2022年7月号掲載記事
先日、市内の標高約千メートル地点にある市民菜園を訪れた。この市民菜園は、耕作放棄地の再生と、市街地と農村の交流に取り組む人たちが始めた事業である。
市街地から少し車を走らせた場所で、手軽に畑を借りることができ、またそのことで地域の課題解決への貢献にもつながる、なにより自分で野菜を栽培できるので、利用者の評判は良い。自分でおいしい野菜を作りたい、食べたいという人は多いだろうから、そんな希望を叶えられる本市の魅力を再認識した。
当日、その菜園利用者から「うちの畑のもの、持って行かない?」と声をかけられた。「もちろんです!」と即答。
フワッと柔らかく耕された畑に足を踏み入れ、案内された先には、なんと私の好物である行者(ぎょうじゃ)ニンニクが。丹精込めて栽培したものをたくさん分けていただくことに恐縮しつつ、ありがたく頂戴した。
たまに家族で市内の飲食店を利用したとき、店の人から「今朝、自宅の畑で採れた野菜を使っています。」と言われるとやっぱり嬉しくなる。こういったことは、都会ではなかなか体験できることではないと思う。
新鮮な水や空気、緑といった自然と共にある暮らしの中で、日常的に土に触れ、自分で作る野菜や果物を味わう。この地で暮らす人々の心の豊かさや温かさは、こんなところからくるのかもしれない、と感じながら帰路についた。
自宅に戻ってすぐに、採れたての行者ニンニクを細かく刻んで醤油漬けにした。アツアツご飯にちょっとのせて一口食べる。シャキッとした歯ごたえとニンニクの風味に覚えた幸福感。「ぜいたくだなあ。」と思わず声が出た。