避難者の皆さんへ 被災地で健康を守るために
被災地で健康を守るために
この度の台風19号による水害のため、長期の避難生活によるストレスなどにより、様々な健康への影響が心配されます。
避難生活を、できるだけ健康に過ごしていただくための大切なことをまとめました。健康管理のためにぜひお役立てください。
被災地を支援する方々は、これらのことを踏まえ、支援の際にお役立てください。
災害時の身の回りのことについて
水分摂取
- 災害時はストレスの影響やトイレの不足などにより、水分摂取を控えがちです。脱水症状等を防ぐためにこまめな水分摂取をしましょう。
飲料の衛生について
- 給水車による汲み置きの水は、当日給水したものを使用してください。
- 井戸水をやむを得ず使用する場合には、外から水が流入していることを想定して、できるだけ煮沸等殺菌してから使用してください。
栄養について
災害時はストレスがかかりやすく、免疫機能が下がりがちです。できるだけ、いろいろな食物をバランスよく食べるようにしましょう。
食事のときの注意点
- 調理の前や食事の前には、手洗いを励行しましょう。
- 提供された食事は早めに食べましょう。
- 消費期限が過ぎた食品は、保存せず捨てましょう。
トイレの衛生
- 使用後は、手指を流水・石けんで洗い、消毒を励行しましょう。
- トイレは定期的に清掃、消毒を行いましょう。
感染症の予防について
感染症を防ぐ
あふれた水の中には、感染症の原因となる病原菌が多く存在しています。日中、自宅等で片付け作業をされた方は、
- 手洗いの励行
- マスクの着用
- 靴を流水で洗い流す、衣服の汚れを室内に持ち込まない
などといったことを心がけてください。
マスクの着用について
- 流れ込んできた土の中には、感染症の原因となる病原菌が多く存在しています。鼻や口から土ぼこりを吸い込まないように、外での作業や外出する際には、マスクの着用を心がけてください。
- 発熱、せき等の症状がある方は、避難所内に風邪などの病気を流行させないために、軽い症状であっても、マスクを着用しましょう。
手洗いについて
避難所での集団生活では、感染性胃腸炎等の消化器系感染症等が流行しやすくなります。こまめに手洗いを励行するように心がけてください。正しい手洗いのポイントは以下の通りです。
- 指輪・腕時計等の装飾品ははずしてから手洗いをする。
- 洗い残しの多いつめ先、指の間は特によく洗う。
- 石けんで2度洗いし、流水で石けんを充分に落とす。
- 手拭は各自専用のものを使用する。
その他
けがをした場合には、そこから破傷風に感染する恐れがあります。傷口を流水で洗浄し、深い傷や土などで汚れた傷は放置せず、医療機関で手当てを受けるようにしてください。
エコノミークラス症候群について
エコノミークラス症候群とは
食事や水分を十分摂らない状態で、車などの狭い座席に長時間座っているなどして足を動かないと、足の血流が悪くなり、血のかたまりができてしまうことがあります。そのかたまりが足から血管を通って肺の動脈を塞いでしまう症状を、エコノミークラス症候群と呼びます。
エコノミークラス症候群を予防するために
- エコノミークラス症候群を予防するために次のことに気をつけましょう。
- 定期的に体を動かしましょう
- 十分に水分を摂るように心がけましょう
- できるだけゆったりとした服を着ましょう。
- 胸の痛みや、片側の足の痛み・赤くなる・むくみがある方は早めに医師に相談してください。
心身の機能低下予防について
- 慣れない避難所や仮設住宅での生活では、体を動かす機会が減ることで、特に高齢者の場合には、筋力が低下したり、関節が固くなるなどして、徐々に「動けなく」なることがあります。
- また、動かないでいると、だんだん心が沈んできて精神的な症状がでてきてしまうこともあります。
- 身の回りのことができる方は、できるだけ自分で行ったり、可能な作業に参加してください。声を掛け合って、積極的に体を動かすようにしましょう。
お口の健康について
- 避難生活では、歯・口・入れ歯の清掃がおろそかになり、食生活の偏り、水分補給の不足、ストレスなども重なって、むし歯、歯周病、口臭などが生じやすくなります。
- 特に高齢者では、体力低下も重なり、誤嚥(ごえん)性(せい)肺炎(はいえん)などを引き起こしやすくなります。
- できるだけ歯みがきを行い、歯みがきできない場合でも、少量の水でできるぷくぷくうがいを行いましょう。
こころの健康について
- 今回の災害のように大変重いストレスにさらされると、誰でも、不安や心配などの反応が表れます。まずは休息や睡眠をできるだけとるようにしましょう。
- 次の状態の時には無理をせずに、まずは身近な人や、巡回してくる医療スタッフ、保健師などに相談してみましょう。
- 心配で、イライラする、怒りっぽくなる
- 眠れない
- 動悸(どうき)、息切れ、苦しいと感じる
- 普段からお互いに声を掛け合うなど、コミュニケーションを取るなどしてこころのケアをすることが大切です。
妊婦・産婦・乳幼児の健康のために
妊婦、産婦、乳幼児は、清潔・保温・栄養をはじめとする健康面への注意が必要です。気になる症状がある時は、我慢せず、早めに医師や助産師、保健師または医療機関等にご相談ください。
注意したい症状
<妊婦>
・お腹の張り、腰痛、膣からの出血、胎動の減少、むくみ、頭痛、目がチカチカするなどの変化を感じた場合
・胎児の健康状態、妊婦健診や出産場所の確保に関する不安などがある場合
<産婦>
・発熱、悪露(出血)の急な増加、帝王切開や会陰切開の傷の痛み、乳房の腫れ・痛み、母乳分泌量の減少などがある場合
・気が滅入る、いらいらする、疲れやすい、不安や悲しさに襲われる、不眠、食欲がないなどの症状がある場合
<乳児>
・発熱、下痢、食欲低下、哺乳力の低下などがある場合
・夜泣き、寝つきが悪い、音が敏感になる、表情が乏しくなるなど、いつもの様子と異なることが続く場合
<幼児>
赤ちゃん返り、食欲低下、落ち着きのなさ、美気力、爪かみ、夜尿、自傷行為、泣くなどのいつもの様子と異なることが続く場合
***避難所にいる方へ***
授乳時は、短時間であってもプライベートなスペースを確保し、話しかけやスキンシップを図ることが大切です。母乳が一時的に出なくなることがあっても、不足分を粉ミルクで補いつつ、おっぱいを吸わせ続けることで再び出てくることが期待できますので、授乳を続けましょう。粉ミルクを使用する際の水は衛生的な水でよく洗って使いましょう。調乳でペットボトルの水を使用する場合は、硬水(ミネラル分が多く含まれる水)は避けるようにしましょう。
乳幼児の食事のことでお困りの方は、長野県栄養士会 080-2550-9115 (平日 午前10時から午後4時まで)へご相談ください。
ご相談先
- からだの健康・栄養・お口の健康に関する相談【健康づくり担当:226-9961】
- 感染症対策に関する相談【感染症対策担当:226-9964】
- こころの健康に関する相談【難病精神保健担当:226-9965】
- 妊産婦・乳幼児に関する相談【母子保健担当 :226-9963】
資料
- 正しい手洗いに関する詳しい情報
【資料1】手洗いで感染予防(国立感染症研究所作成) [PDFファイル/820KB]
【資料2】衛生的な手洗い(公益社団法人日本食品衛生協会作成) [PDFファイル/521KB]
- エコノミークラス症候群の予防のために
【資料1】エコノミー症候群予防のために(厚生労働省作成パンフレット )[PDFファイル/1.84MB]
【資料2】エコノミークラス症候群を予防しましょう(NPO法人日本健康運動士会作成パンフレット) [PDFファイル/247KB]
- 妊産婦、乳幼児に関する情報
【資料】避難生活を少しでも元気で過ごすために(国立健康・栄養研究所、公益法人日本栄養士会作成リーフレット) [PDFファイル/399KB]