更新日:2025年7月17日
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COPDは、慢性閉塞性肺疾患と呼ばれており、肺が炎症を起こし、呼吸がしにくくなる病気です。
たばこの煙などの有害物質を長期間を吸い込むことで、空気の通り道である気管支に慢性的に炎症がおきて痰が詰まったり、気管支の壁が分厚くなって中が細くなることによって空気の流れが悪くなります。
また、気管支の奥にある肺胞が少しずつ破壊されて、肺気腫という状態になると、肺が古いゴム風船のように弾力がなくなります。
肺の機能が気付かないうちに徐々に蝕まれていき、肺の動きが悪くなって空気を吐き出すことができなくなり、その結果身体が酸素不足を起こします。
COPDの最大の原因はたばこの煙です。たばこを吸い始めた年齢が若いほど、また1日の喫煙本数が多いほどCOPDになりやすく、進行しやすいと言われています。
歩行時や、階段の昇り降りなど身体を動かしたときに息切れを感じたり、風邪でもないのに咳や痰が続いたりすることがCOPDの特徴的な症状です。ありふれた症状であるため、見過ごしてしまいがちで、COPDの発見の遅れにつながります。
COPDの恐ろしいところは、はじめのうちは無症状でゆっくりと進行し、息切れなどを自覚したころには病気がかなり進行していることが多く、しかも元どおりには治らないということです。現代の医学では、一度壊れてしまった肺胞をもとどおりにする治療はありません。
COPDになると、肺の機能は急速に低下していくことが多いので、早期に診断をして適切な治療を受けることが重要です。治療で最も大切なことは、すぐに禁煙をすることです。さらに適切な薬物治療と、適切な生活習慣や運動、リハビリなどにより、病気の進行をできる限り食い止め、健康的な生活を維持することができます。
たばこを吸っている人や過去に吸ったことがある中高年の人で、痰がからみやすい、風邪をひきやすい、風邪がこじれやすいなどの経験がある人はCOPDの可能性があります。また、普段は元気でも風邪を引いたときに喉や気管が“ぜいぜい”ということがあればCOPDの可能性があるので、かかりつけ医または呼吸器専門医に相談してみましょう。
実は、COPDは全身の病気とも言われています。肺の炎症が全身へ影響をもたらすことで、全身の炎症性の病気が誘発され、日常生活や予後に影響を及ぼします。影響を及ぼす病気としては、高血圧や糖尿病、メタボリックシンドロームや骨粗しょう症、フレイルなど様々ありますが、中でもかなり高い頻度で現れるのが、「心不全」や「心筋梗塞」、「不整脈」など心臓血管系の病気です。COPDの代表的な症状である「体を動かしたときの息切れ」は、心臓の病気の特徴的な症状とも重なります。「COPDだから息切れするのはあたりまえ」と思うのではなく、息切れの度合いが少し悪くなっているなどの兆候があれば、何か別の病気の可能性もありますので、かかりつけ医へご相談ください。
厚生労働省の統計によると令和5年のCOPDによる死亡者数は約17,000人で、その数は年々増加しています。ある研究によると、国内の潜在的な患者数は530万人以上いると推計され、年々増えていると考えられていますが、実際に治療を受けている患者数は約22万人にすぎず、多くの人がCOPDであることに気づいておらず、治療を受けていないということになります。
世界COPDデーは、COPDという病気の認知度を高め、早期発見、治療を促す機会として、世界的な組織「GOLD(Global Initiative for Chronic Obstructive Lung Disease)」によって定められています。
COPDは社会的に認知が十分ではない疾患です。令和4年に長野市で行った健康づくりに関するアンケートでも、約5割がCOPDを知らないと回答しています。
COPDは発症・重症化予防が出来る病気です。自分や周りの家族の人のために、まずはCOPDについて知ってください。