更新日:2025年4月14日
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「健幸(けんこう)増進都市・長野」を目指す荻原健司市長が、日頃考えていることや感じたことなどを市民の皆さんにお伝えする「市長エッセー」を広報ながのに掲載しています。ぜひご愛読ください。
「先生、トントンしてくれる?」先日、市内の保育園で保育士体験をした際、ある園児が私の足元に寄ってきてそう言った。保育現場は今、担い手確保に懸命だ。市としても、まずはその現場を知ることが重要だと思い、体験させてもらった。そこで早速園児に言われたのがこの言葉だ。体験とはいえ、先生と言われて少し照れくさい気持ちもあったが、それどころではなかった。不意にトントンと言われ、困惑した。「トントン」とは何なのか。もう聞くしかなかった。「あのさぁ、トントンってなんだっけ?」と。すると「お昼寝のトントンだよー」と返ってきて合点がいった。トントンというのは、お昼寝の時に先生が子どもたちの背中を優しくたたきながら眠りにつくのを見守ること。一定のリズムで伝わる優しいトントン。背中に伝わる手のぬくもり。何より、大好きな先生がそばにいてくれるという安心感。これがトントンである。子どもたちはきっと、優しさに包まれながら「ここにいていいんだ」「大丈夫なんだ」と安心して眠りにつくのだろう。トントンは子どもたちからの小さなお願いかもしれない。でも、私はそこに誰かに優しく見守ってもらいたいという人間の根源的な願いがあると思った。未来ある子どもたちに知識を伝えることや、できることを増やすことは必要だろう。しかし、それ以上に、まずは成長を支えていく柱としての心の安心感を確かに持てること。それが大事なのだと思う。人は誰もが優しくされることで安心する。誰かがそばにいてくれることで心が穏やかになる。大人になれば素直に「トントンして」とは言えないけれど、そんな気持ちになる時だってある。今日もさまざまな保育園で先生が小さな背中に手を添えていることだろう。そして、トントンの願いがたくさん聞かれることだろう。先生の優しいトントンが子どもたちの心を育てている。トントン。それは小さな行為かもしれないけれど、その役割がどれほど大きいことか。それがよく分かった。
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