更新日:2023年12月7日
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「健幸(けんこう)増進都市・長野」を目指す荻原健司市長が、日頃考えていることや感じたことなどを市民の皆さんにお伝えする「市長エッセー」を広報ながのに掲載しています。ぜひご愛読ください。
自転車で風を切る。その心地良さを感じつつも、ハンドルを握る手には暖かい手袋が必要な季節となった。
私の相棒は、前と後ろに座席のある3人乗りのいわゆるママチャリだ。保育施設への子どもの送迎で使っていた自転車は、子どもたちの成長に伴い、今は私の通勤にのみ活躍しており、もっぱらパパチャリというところ。思えば、前の座席にいる子どもの匂いを感じながら、弾んだ会話の一つ一つが懐かしい。4人の子どもを代わる代わる送り届けたり、迎えに行ったり、子どもの成長を感じながらペダルをこいだ日々は、残念ながらもうない。
自転車は15年近く使っているため、何度かタイヤ交換をしたし修理もした。玄関先で風雨に耐えてきたこともあって、さびや色抜けでだいぶくたびれてきているのがよく分かる。不具合があれば自分で修理した。これまでで一番苦労した作業は変速機の修理だった。真っ黒な油で手を汚して、もうダメかと思いながら作業を進めたものだ。しかし、再び息を吹き返した時はうれしさのあまり声が出た。「よし、また走ろう!」。
もともと自転車は好きな方だ。スキー選手時代、よくロードバイクで長距離を走り、マウンテンバイクで野山を駆け回った。安全に気を付け、注意深く乗っていたため、幸い大きな事故やけがはなかった。そんなこともあって、やはり自転車で風を切るのは楽しいと思う。もちろん、若い頃のような激しい運転はしないし、そもそもの自分の体力も落ちている。もうそんなにペダルを踏み込めない。とはいえ、電動アシスト付き自転車を見ると、いつも自身に言い聞かせる。「これからも決してアシストの世話にはならないぞ」と。なぜなら、子どもを乗せていた時も使わなかったからだ。一方、相手(自転車)は私を誘惑する。「スイッチオンでもっと楽に走れるよ。そんなに頑張らなくてもいいじゃない」と。
子どもを乗せて走ることはなくなりはしたが、これからも相棒の古い自転車に乗って、風の中を走る日々は続いていきそうだ。
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