更新日:2025年4月14日
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「健幸(けんこう)増進都市・長野」を目指す荻原健司市長が、日頃考えていることや感じたことなどを市民の皆さんにお伝えする「市長エッセー」を広報ながのに掲載しています。ぜひご愛読ください。
「お父さんはマニュアル車を運転できる?できるなら見てみたい」と言われた。これは漫画の影響だ。小学6年生の彼が読む単行本「頭文字D(イニシャル・ディー)」は、1995年から2013年まで週刊漫画雑誌で連載され、峠道を舞台に車を速く走らせる若者たちを描いた物語である。実在する峠道や車が詳細に描かれており、車ファンのバイブル的な作品の一つである。作中に登場するほぼ全ての車がマニュアル車であり、意のままに車を操る高揚感に免許を持たない子どもでさえ夢中になる。彼の質問に私は「運転できるよ」と自慢げに答えた。大学生の時に免許を取って、最初の車はマニュアル車だった。ただ、その後はずっとオートマチック車だから、本当のところ自慢する腕前などすでにない。現在、国内の新車販売台数のうち98パーセント以上がオートマチック車だというから、漫画に登場するような車はほとんど見ない。マニュアル車を運転する姿を彼に見せたいと思ってはみたものの「さて、周囲にマニュアル車を貸してくれる人はいるか?」と思い巡らせてもその答えは出てこなかった。
ところで、車に関しては電気自動車の普及のみならず、AIや高性能な半導体を駆使した新しい事業モデルの構築に向けた検討が世界的に進められている。スマホや家電と連動できるなど、車はハードウエアからソフトウエアの時代へと定義の塗り替えが加速している。それは、私たちの暮らしの利便性を高め、新たな移動の楽しさにつながるものだろう。
一方で、わが家の漫画ファンが免許を持ったとき、まだマニュアル車が実在していてほしいとも思うが果たしてどうだろう。こうなったら彼の将来のためにも今のうちにマニュアル車を購入しておこうかと考えてみたが、それは過保護すぎる。しかし、それ以前に、この先も車の燃料のもととなる原油が手に入り続けるのだろうか。子どもの夢がかなうためにも国際政治の安定を望みたい。車とは違い、国を意のままに操ることはできない。
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