更新日:2024年4月5日
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「健幸(けんこう)増進都市・長野」を目指す荻原健司市長が、日頃考えていることや感じたことなどを市民の皆さんにお伝えする「市長エッセー」を広報ながのに掲載しています。ぜひご愛読ください。
自分や家族の行政手続きのために自宅近くの支所に行くと、いつも決まって緊張する。「手続きはスムーズにいくだろうか。必要書類はそろっているだろうか。」と身構えてしまう。窓口で応対する職員よりも、間違いなく体温が高いといつも思う。そこではなぜか汗ばんでしまうのだ。果たして私だけがそうなのだろうか。市民の皆さんが同じような気持ちなのであれば、市役所をもっと気軽に寄れる場所にできないか。市役所は、市民の皆さんのもののはず。
そこで、アート(美術、芸術)の力を借りてはどうかと考えてみた。アートの活用例として、ロビーや廊下の壁に絵画が飾ってある病院がある。アートは、患者やその家族に癒やしや元気を与え、職員の快適な職場環境づくりにもつながるという。ならば、それは市役所も同じだろうと、庁舎の殺風景な壁面を活用し、絵画などのアート作品を展示することで、市民の皆さんが緊張せずに来庁できる居心地の良い場所にしたいと思った。
コンセプトは、「市役所をまるごと美術館に」。
実は、市では絵画など多くのアート作品を保管している。その大部分は大切に保管しているため普段は見ることはないが、市ゆかりの作家から寄贈を受けた作品の展示にもつなげていきたい。
ところで過日、東京藝術大学の日比野克彦学長の講演を聴いた。同大学などでは、「文化的処方」の研究をしているという。これは、健康の維持・改善や幸福感増進のため、医療や福祉にアートを取り入れる手法とのこと。イギリスでは、さまざまな課題を抱える人たちの心の癒やしの場や、認知症の処方の場として美術館を活用しているそうだ。また「文化的処方」により医療費などの削減や、その従事者の勤務の質の向上といった効果があるという。
多くの人の心の状態をよくする可能性に期待し、庁舎内にアート作品を展示することで、地域のよりどころとして、幸せをつくる場所にしていきたい。そうすれば、もう緊張して汗ばむこともないのかもしれない。
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