更新日:2025年4月14日
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「健幸(けんこう)増進都市・長野」を目指す荻原健司市長が、日頃考えていることや感じたことなどを市民の皆さんにお伝えする「市長エッセー」を広報ながのに掲載しています。ぜひご愛読ください。
過日、能登半島地震の被災地である珠洲市を訪問した。現地へ向かう車の窓から自生する藤を多く見かけた。自然の中で、紫色の花をつけた藤がこれほどまでに咲き誇る姿を、今まで見たことがなかった。珠洲市へ近づくほどに、あちらこちらで咲いており、昼間の強い光の下でもその鮮やかさが際立って目に映り、まさに花言葉の一つである「歓迎」を感じた。
この地に本市から支援職員を派遣して2年目に入った。その数は6人で、災害廃棄物処理に関する事務や道路の復旧工事の設計・施工管理、また、保健福祉関係など支援業務は多岐にわたる。
訪問したのは、支援職員の激励や現地の復興状況を視察するためであったが、珠洲市への道は地震の影響で波打つ箇所が多く、車も大きく揺れた。車から見えるのは崩落した斜面や被害を受けた建物。そんな中で、目を奪われたのが自生している藤の花だった。
振り返れば、昨年の元日に発生した地震は本市でも震度5弱を観測し、テレビから伝えられる現地の状況に大きな衝撃を受けた。本市も令和元年東日本台風災害では大きな被害を受けたが、多くの人たちに助けてもらった。その時の経験も含め被災地に支援職員を派遣することは、相互助け合いを基本とする取り組みの一つである。
現地では、珠洲市長が出迎えてくれ、被災状況や復旧・復興の取り組みを説明してくれた。加えて、本市支援職員からも業務の内容などを聞くことができた。また、市内の被害状況をこの目で確認することもでき、そこでは、地域の方々や復旧工事の関係者の皆さんが、かつての暮らしを取り戻すために、また愛着のある地域を守るために、それぞれ黙々と仕事に取り組む姿に胸を打たれた。
日暮れになって、現地を出発したが、帰り道もまた藤の花がよく見えた。来た時とは違って見えたのは、「歓迎」のほかに、「決して離れない」という花言葉があったから。藤の花に、珠洲の人々の地域への思いが重なって見えたからだと思う。
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