更新日:2025年4月14日
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「健幸(けんこう)増進都市・長野」を目指す荻原健司市長が、日頃考えていることや感じたことなどを市民の皆さんにお伝えする「市長エッセー」を広報ながのに掲載しています。ぜひご愛読ください。
千曲川の堤防を走る。春を感じる風はとても気持ち良いものの、間近に迫った長野マラソン大会を考えると気が重くなる。フルマラソンという長丁場。走り切れるのかと不安で仕方がない。しばらくすると向こうから二人連れが歩いてきた。両手にはポールを持っているからノルディックウオーキングだ。近づくと高齢のご夫妻だった。しかめっ面の私とは反対に、笑顔で、軽やかな足取りで通り過ぎていった。それを見た途端にうれしくなった。
ノルディックウオーキングは90年代後半にフィンランドで生まれたフィットネススポーツで、もともとはクロスカントリースキー選手のオフシーズンの練習として行われていたものが、一般にも浸透し世界に広まった。ポールを使うことで全身の筋肉を刺激するため、運動の効果は十分である。普通のウオーキングよりもエネルギー消費量が約2割増えるという研究結果もあるようで、体力の向上や減量にも良い。また、ポールの負荷が腕にも分散されるため、足腰への負担軽減につながり、転倒予防にもなる。高齢者向けの運動としても特にオススメだ。始めた人からは、「ウオーキングでは物足りないけれどランニングだときついから。」という声が多く聞かれる。これまで、ノルディックウオーキング普及団体の一員として、体験会などに講師として数多く参加し、その振興・普及に力を入れてきた。今でこそ、一人でノルディックウオーキングをする人をよく見かけるが、20年前は、そうではなかった。友人と一緒か、イベントであればやってみるという人がとても多く、その理由としては「変なうわさが立つから。」だった。「近所のあの人、杖を両手に持たないともう歩けないほど体調が悪いようだ。」という具合なのだとか。もう今は、そういったことは聞かれない。
これまでの普及にかけた楽しい日々が走馬灯のように思い出され、気が付けば予定していた距離を走り切っていた。あっという間に思えた。「そうだ、走っている時こそ楽しいことを思い起こそう。」長野マラソン大会での完走への希望が見えた時、頬をなでる爽やかな風に心がフワッと軽くなった。
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